「持ち家か賃貸か」という選択のしやすさは、住んでいる県によって大きく変わります。持ち家比率(住んでいる住宅のうち持ち家の割合)を都道府県別に見ると、秋田県・富山県・山形県・福井県といった地方の県が70%台後半で並ぶ一方、東京都は全国で最も低い水準、次いで沖縄県も低い水準にとどまっています。持ち家比率だけを見ると「地方は豊かで、都会は住宅を持てない人が多い」という印象を持ってしまいそうですが、実際にはもっと単純な理由が背景にあります。
最も大きな理由は地価の違いです。東京都のように地価が高い地域では、同じ広さの持ち家を買うためのハードルが大きく上がります。加えて、都市部は進学や就職で転入してくる単身者・若年層の割合が高く、そもそも「まだ家を買う段階ではない」世帯が多く住んでいることも、比率を押し下げる要因になっています。持ち家比率は世帯の年齢構成にも左右される指標だということです。
一方、秋田県や富山県のような地方で持ち家比率が高いのは、地価が比較的安く、二世帯・三世帯同居や、実家の土地に家を建てるという選択肢が取りやすいことが影響しています。当サイトの記事「都道府県別の離婚率」でも触れたとおり、北陸地方は持ち家率・三世代同居率がともに高い地域として知られており、住宅の持ち方と家族形態は密接に関係しています。
この地域差は、当サイトの他のデータとの相関関係にもはっきり表れています。人口密度と持ち家比率の相関係数はr=-0.589と中程度の負の相関で、人口が集中する都市部ほど持ち家比率が下がる構造が裏付けられます。さらに強いのが自動車所有率との関係で、相関係数はr=0.707。持ち家比率が高い秋田県・富山県・福井県は、当サイトの自動車所有率ランキングでも軒並み上位に入っており、戸建て住宅で駐車スペースを確保しやすいことが、車を複数台持てる暮らしを後押ししていると考えられます。逆に東京都は、持ち家比率・自動車所有率ともに全国最下位クラスという、住宅と交通の両面で共通した「都市型の暮らし方」を示しています。
興味深いのは、2003年から2018年までの15年間の推移を見ると、持ち家比率は多くの県で緩やかに低下していることです。人口減少や高齢化が進む地方でも、空き家の増加や単身高齢世帯の増加によって、持ち家比率は必ずしも右肩上がりではありません。この15年間の推移を都道府県ごとに折れ線グラフで見ると、自分の地域が全国平均に対してどちらの方向に動いているか、順位表だけでは気づかない変化が見えてきます。