「稼いでいる県」と「貯めている県」は、同じとは限りません。2人以上世帯の貯蓄現在高を都道府県別に見ると、愛知県が2,659万円で全国トップに立ちます。当サイトの県民所得ランキングで所得1位だった東京都は、貯蓄額では2,226万円で8位にとどまり、所得2位の愛知県に貯蓄額でも逆転を許す形になっています。「稼いでいる地域」と「貯めている地域」は、必ずしも一致しないということが、この2つのランキングを比べるとよく分かります。
実際に相関係数を計算すると、貯蓄額と県民所得の相関は r = 0.517 と中程度の正の相関にとどまります。所得が高い県ほど貯蓄額も多い傾向は確かにありますが、それほど強い連動ではありません。東京都のように所得は高くても貯蓄額の順位がそれほど高くない理由としては、家賃・物価の高さから来る生活コストの重さが挙げられます。稼いだ分がそのまま可処分所得として残るわけではなく、住居費や日常の支出に多くが消えてしまう都市部特有の事情が、貯蓄額を押し下げていると考えられます。
対照的に、愛知県・兵庫県・神奈川県・埼玉県・滋賀県・富山県といった貯蓄額上位の県には、当サイトの持ち家比率ランキングで比較的高い水準にある県が多く含まれています。ただし、貯蓄額と持ち家比率そのものの相関係数を計算すると r = 0.038 とほぼゼロで、直接的な関係はほとんどありません。持ち家であること自体が貯蓄を増やすわけではなく、むしろ製造業を中心とした安定した雇用や、堅実な消費傾向といった、地域ごとの生活文化の違いが背景にあると考えられます。
貯蓄額が最も少ないのは沖縄県で904万円。2位の青森県(1,106万円)とも差があり、突出して低い水準です。沖縄県は当サイトの年少人口割合ランキングで見たとおり若年層の比率が高く、現役世代の年齢構成が若いことに加え、賃金水準や物価構造が本土と異なることも、貯蓄額の低さに影響していると考えられます。
「所得が高い=豊か」というイメージは根強くありますが、貯蓄額という別の切り口で見ると、稼ぎの大きさと家計の蓄えの厚みは、また違う地域の顔を見せてくれます。当サイトの県民所得ランキングとあわせて、この貯蓄額ランキングも見比べてみてください。