東京都の自動車所有率は、山形県の3分の1にも届きません。1千世帯あたりの自動車所有数量を都道府県別に見ると、山形県が2,111台でトップ、福井県・富山県と北陸・東北の県が上位を占めます。一方、最下位は東京都でわずか665台。山形県の3分の1以下という大きな開きです。大阪府・神奈川県・京都府といった大都市圏も軒並み下位に沈んでおり、車の所有率は明確に「都市か地方か」で分かれています。
この差の最大の要因は、公共交通機関の充実度です。東京都・大阪府・神奈川県のような大都市圏は、鉄道網が張り巡らされており、日常の移動を電車やバスだけで完結できます。加えて、都市部では駐車場の確保コストが高く、車を持つこと自体が経済的な負担になりやすいという事情もあります。逆に、山形県や福井県のような地方では、最寄り駅やバス停までの距離が遠く、通勤・通学・買い物のすべてに車が欠かせない「車がないと生活が成り立たない」地域が多く存在します。
興味深いのは、この自動車所有率が、当サイトの県民所得ランキングとはほとんど連動していない点です。所得ランキングで上位に来る東京都・愛知県は、自動車所有率では最下位・下から16位という対照的な結果になっています。これは、自動車の所有が「豊かさの指標」ではなく、「その地域で生活する上での必需品かどうか」を反映した指標だということを示しています。所得が高くても車を持たない都市生活者もいれば、所得がそれほど高くなくても、生活上車を複数台持たざるを得ない地方の世帯もあります。
また、当サイトの持ち家比率ランキングとは、ある程度似た傾向が見られます。持ち家比率が高い地方の県は、駐車スペースを確保しやすい戸建て住宅が多く、車を複数台持つハードルが低いことも、自動車所有率の高さを後押ししていると考えられます。逆に集合住宅が中心の都市部では、1世帯1台の駐車スペースを確保すること自体にコストがかかり、車を持たない選択をする世帯が増えやすくなります。
自動車所有率は、その地域の「車社会としての成熟度」を示す指標であると同時に、公共交通インフラの充実度を裏側から映し出す指標でもあります。当サイトの人口密度ランキングとあわせて見ると、人口密度が高い地域ほど自動車所有率が低いという、明確な相関が見えてくるはずです。