高齢化が進んでいると聞いて、多くの人が地方の農村部を思い浮かべるかもしれません。実際、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)を都道府県別に見ると、秋田県が全国で最も高い水準にあり、次いで高知県、山口県といった地方の県が上位に並びます。一方、東京都・沖縄県・神奈川県といった都市部や、出生率の高い沖縄県は、高齢化率が全国的に低い水準にとどまっています。
この地域差の大きな要因は、高度経済成長期に地方から都市部へ若い世代が大量に移動したことにあります。当時、進学や就職で東京・大阪・名古屋などに移り住んだ世代が地方に戻らなかったことで、地方には親世代が残り、都市部には若い世代が集積しました。その結果が数十年を経て、地方の高齢化率の高さという形で表れています。高齢化率は「今、何が起きているか」だけでなく「数十年前に何が起きたか」を映す指標でもあるのです。
ただし、東京都の高齢化率が低いことを「東京は高齢化と無縁」と読むのは早計です。地方から上京してきた世代がまとまって高齢期を迎えつつあり、東京都は今後、高齢化率が急速に上昇する局面を迎えると見込まれています。実際、当サイトの人口密度・年少人口割合のダッシュボードとあわせて見ると、東京都は年少人口割合も全国平均を下回りつつあり、将来的に高齢化が加速しやすい人口構成になっていることが読み取れます。地方の高齢化は「今の課題」、都市部の高齢化は「これから本格化する課題」という時間差があるという見方ができます。
また、高齢化率と年少人口割合を足し合わせると、その地域で現役世代(15〜64歳)がどれくらいの割合を占めているかも見えてきます。高齢化率が高く、年少人口割合も低い地域は、働き手の割合が小さくなりやすく、地域経済や医療・介護の担い手不足につながりやすい構造だといえます。
高齢化率が高いことは、必ずしもその地域の暮らしにくさを意味するわけではありません。当サイトの平均寿命(男性)ランキングでは、高齢化率トップの秋田県は平均寿命では下位(80.48歳)にとどまる一方、高齢化率が中位の滋賀県・長野県が平均寿命では全国トップクラス(滋賀県82.73歳、長野県82.68歳)という結果でした。高齢者の絶対数・割合が多いことと、実際にどれだけ長生きできるかは、また別の話だということです。また、当サイトの総合力スコアでは高齢化率を「低いほど良い方向」として扱っていますが、これはあくまで現役世代の比率という経済的な観点からの評価であり、高齢化率が高い地域が住民にとって暮らしにくいと判定しているわけではない点には注意が必要です。
当サイトの高齢化率ダッシュボードでは、都道府県ごとの推移を折れ線グラフで確認できます。年少人口割合・人口密度・平均寿命のランキングとあわせて見ることで、その地域の人口構成がどんな段階にあるのか、そしてそれが暮らしの質とどう関係しているのか、あるいはしていないのかが立体的に見えてきます。