「住みやすい都道府県はどこか」という問いに、単一の正解はありません。気候、通勤時間、家賃、人間関係の距離感など、人によって重視するものはまったく違うからです。それでも、経済・生活基盤という限定された切り口からであれば、複数の指標を組み合わせて一定の傾向を示すことはできます。当サイトでは、県民所得・人口10万人あたり病院数・持ち家比率・年少人口割合・高齢化率という5つの指標について、全国の中央値より良い方向にある指標がいくつあるかを数えた「総合力スコア」を、都道府県ごとに算出しました。
スコアの算出方法はシンプルです。5つの指標それぞれについて、全国の中央値を上回っていれば(高齢化率だけは下回っていれば)1点を加算し、5点満点で採点しています。指標の選び方や重み付けには当サイトなりの判断が入っているため、これが唯一絶対の「住みやすさ」ではありません。それでも、単一の指標だけでは見えない、地域ごとのバランスの良さ・偏りを浮かび上がらせる試みとして作りました。
このスコアには意図的に選んだ設計上の制約があります。5つの指標を「中央値より上か下か」という二値(1点か0点か)に単純化しているため、中央値をわずかに上回っただけの県も、大きく上回った県も同じ1点になります。逆に言えば、1つの指標が全国トップクラスであっても、それだけでスコアが跳ね上がることはありません。これは、特定の指標だけが突出している県が総合力スコアで不当に高く評価されるのを避けるための設計です。一方で、僅差の逆転が起きやすいという弱点もあります。中央値ぎりぎりで1点を落とした県と、大きく中央値を割り込んで1点を落とした県が、スコア上は同じに見えてしまうためです。
こうした二値化のスコアとは別に、当サイトでは後日、より連続的な手法として主成分分析(PCA)を使った「都市度指数」「ものづくり・堅実度指数」も算出しています。こちらは指標をそのまま標準化した連続値として扱うため、僅差か大差かの違いも反映されます。5指標の総合力スコアが「シンプルさ・分かりやすさ」を優先した設計であるのに対し、PCAベースの指数は「精度・連続性」を優先した設計だと言えます。どちらが優れているというより、目的に応じて使い分けるべき、別の物差しです。
実際にスコアを見ていくと、一部の県は5つの指標のほとんどで平均を上回る一方、別の県は特定の指標だけが突出して高く、他はそうでもないという、指標間のばらつきが見えてきます。単一のランキングでは1位でも、総合力スコアでは中位にとどまる県もあれば、逆に単一指標では目立たなくても、5つ全体のバランスが良く高スコアになる県もあります。
重要なのは、このスコアが「その県が優れているか劣っているか」の最終判定ではなく、5つの決まった物差しで機械的に採点したら何が見えるか、という一つの切り口だということです。気候の心地よさや自然環境、文化・娯楽の充実度、治安の良さといった、暮らしやすさに関わる他の多くの要素は、このスコアには反映されていません。詳しい算出方法とその限界については、別記事「都道府県ページの『総合力スコア』、何をもとに計算しているのか」で詳しく説明しています。
こうした複合指標は、当サイトに限らず「幸福度ランキング」「住みよさランキング」といった名前で様々な機関が発表していますが、採用する指標・重み付け・算出方法によって、同じ県でも順位が大きく変わることが珍しくありません。ランキングを見るときは、まず「どの5つ(あるいは10、20)の指標を使っているか」を確認し、自分が重視したい観点と一致しているかを見極めることが、数字に振り回されないための最初の一歩になります。
当サイトの総合力スコアのランキングページでは、47都道府県のスコアを一覧できます。個々の指標がどう影響しているかは、それぞれの都道府県ページで内訳(◎・△のタグ)を確認できるので、気になる県があれば見てみてください。