都道府県庁所在地(一部市を含む)の年平均気温を見ると、沖縄県が23.7℃で最も高く、次いで鹿児島県(19.3℃)、宮崎県(18.2℃)と続きます。最も低いのは北海道の10.2℃で、次いで岩手県(11.2℃)、青森県(11.3℃)です。沖縄県と北海道の差は13.5℃にのぼり、これは緯度の違いだけでなく、海洋性気候と大陸性気候の違いも反映した、日本列島の気候の多様さを表す数字です。
この気温差は、当サイトの他のデータとも関連が深い部分があります。気温と1人あたり電力消費量(家庭部門)の相関係数を計算すると、r=-0.19とやや弱いながら、気温が低い地域ほど電力消費量が多いという傾向自体は確認できます。ただしこの相関はそれほど強くなく、電力消費量は気候だけでなく、世帯人数や住宅の断熱性能など、他の要因にも左右されているようです。一方、気温と米収穫量の相関係数はr=-0.677と、こちらははっきりとした負の相関が見られました。当サイトの米収穫量ランキングで上位に来る新潟県・秋田県・山形県といった県は、気温が比較的低い地域に集中しており、冷涼な気候と豊富な水資源が、良質な米作りに適した条件を生み出していると考えられます。
一方で、意外だったのは、気温と当サイトの平均寿命(男性)・県民所得との相関係数がいずれもほぼゼロに近かったことです。気温と平均寿命の相関係数はr=0.169、気温と県民所得の相関係数はr=-0.134と、どちらも「暖かい地域ほど長生きできる」「暖かい地域ほど豊か」といった単純な仮説を裏付ける結果にはなりませんでした。平均寿命トップの滋賀県(年平均気温15.7℃)や長野県(12.7℃)は、気温だけで見れば全国的にも涼しい部類の県であり、気候の暖かさよりも、当サイトの平均寿命の記事で紹介した生活習慣的な要因のほうが、寿命への影響が大きいことがうかがえます。
気温は、暮らしの実感としては非常に大きな違いを生む指標ですが、経済力や寿命といった社会統計の指標とは、必ずしも強く結びつくわけではありません。総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」の週報でも、搬送人員の絶対数では人口の多い東京都・大阪府・愛知県・埼玉県といった都市部が上位に来る傾向があり、必ずしも気温が高い沖縄県・鹿児島県が最上位というわけではありません。冷房の普及率や、暑さへの慣れ(暑熱順化)の程度が地域によって異なることも背景にあると考えられており、単純に「暑い県ほど熱中症が多い」とは言い切れない複雑さがあります。当サイトの気候データは、まずはその地域の暮らしぶりや農業・エネルギー消費のパターンを理解するための、基礎的な参照データとして活用してください。