「米どころ」と聞いて、新潟や秋田を思い浮かべる人は多いはずです。実際、都道府県別の水稲収穫量を見ても、新潟県が63万トンで全国トップ、次いで北海道、秋田県と続きます。ここまでは予想通りの結果です。しかし、この収穫量を人口で調整して「1人あたり米収穫量」に直すと、様相が変わります。
1人あたりで見ると、秋田県が1人あたり約517kgと圧倒的なトップに立ちます。総量では3位だった秋田県ですが、人口が全国的に少ない県であるため、住民1人あたりに換算すると突出した数字になります。2位は山形県(約368kg)、3位は総量トップの新潟県(約305kg)と続き、4位以下には岩手県・青森県・富山県といった、いずれも人口規模が中位から下位の日本海側・東北の県が並びます。
この結果は、当サイトの生乳生産量(北海道が総量・人口あたりの両方で圧倒的な1位)とは対照的なパターンです。生乳は北海道という1つの地域に生産が極端に集中しているのに対し、米は東北・北陸の複数の県にわたって、人口規模の割に高い生産力を持つ地域が分散して存在しています。これは、稲作が広い平野部を持つ複数の地域で古くから営まれてきた、日本の農業の歴史を反映していると考えられます。
1人あたりの数値が高い県に共通するのは、広い平野部と、人口が都市部ほど集中していないという条件です。秋田県の場合、県土の多くを占める秋田平野・横手盆地が稲作に適した条件を備えている一方、人口自体は全国的に見て少ないため、「作っている量」に対して「割る人数」が少なく、1人あたりの数値を押し上げています。つまりこの指標は、単純な農業生産力だけでなく、当サイトの人口密度ランキングで見たような、人口の少なさそのものも反映した数字だという点に注意が必要です。
総量ランキングは「日本全体の食料供給にどれだけ貢献しているか」を示す一方、1人あたりランキングは「その地域にとって稲作がどれだけ大きな存在か」を示しています。当サイトの米収穫量ダッシュボードでは両方の見方を確認できるので、あわせて見比べてみてください。