電灯使用電力量(家庭・商店などで使われる電力)の総量ランキングでは、東京都・大阪府・神奈川県・愛知県といった人口の多い都市部が上位を占めます。これは当然の結果で、人が多く住む地域ほど、電気を使う世帯や店舗も多くなるためです。ここで1人あたりの電力使用量に換算すると、単純な人口の多寡では説明できない、地域ごとの暮らしぶりの違いが見えてきます。
1人あたりで見たときに上位に来やすいのは、寒冷地や、持ち家比率が高く住宅の延べ床面積が広い傾向にある地域です。北陸・東北地方の一部の県では、冬場の暖房・給湯にかかる電力消費が大きいことに加え、当サイトの持ち家比率ダッシュボードで見たように、これらの地域は戸建て住宅の割合が高く、集合住宅が中心の都市部に比べて1世帯あたりの床面積が広くなりがちです。広い住宅は、それだけ照明や空調にかかる電力も増える傾向があります。
逆に、東京都・大阪府のような大都市圏は、総量では上位でも1人あたりに換算すると相対的に順位を下げます。理由の一つは、都市部は集合住宅(マンション・アパート)の割合が高く、1世帯あたりの床面積が地方に比べて小さい傾向にあることです。もう一つは、単身世帯の割合が高いことも影響します。単身世帯は世帯人数が少ない一方で、照明や冷蔵庫といった基礎的な電力消費は世帯単位でほぼ固定的にかかるため、世帯人数で頭割りすると、1人あたりの電力消費は多人数世帯より高くなりやすい面もあります。都市部の場合はこの2つの効果が相殺し合っている可能性があります。
ここで注意したいのは、この指標が「電灯使用電力量」、つまり主に家庭・商業用の電力に限定されている点です。工場やオフィスビルの大規模な産業用電力は含まれていないため、この指標だけで「その地域全体のエネルギー消費が多い・少ない」と結論づけることはできません。むしろ、生活者にとっての電力消費という側面に絞って地域差を見るための指標として捉えるのが適切です。
気候や住宅事情、世帯構成といった複数の要因が絡み合って生まれるこの地域差は、単一の原因に還元できるものではありません。当サイトの持ち家比率・年少人口割合といった他のダッシュボードとあわせて見ることで、その地域の暮らしぶりの一端がより立体的に見えてきます。