経済産業省「商業動態統計調査」によると、都道府県別のコンビニエンスストア店舗数で全国トップに立つのは東京都の7,154店です。2位の大阪府(3,891店)、3位の神奈川県(3,675店)を大きく引き離しており、東京都1都だけで全国のコンビニのかなりの割合を占めています。上位には大阪府・神奈川県・愛知県・北海道・埼玉県・千葉県・福岡県と、人口の多い大都市圏が並びます。
一方、最も店舗数が少ないのは鳥取県の257店で、次いで高知県が283店、島根県が287店と続きます。東京都との差は約28倍にのぼり、当サイトがこれまで扱ってきた指標の中でも、面積(北海道と香川県の差は約44倍)に次いで大きな部類の格差です。全国の中央値は675店で、東京都はその実に10.6倍にあたります。
コンビニの立地は、人口規模だけでなく、昼間人口(通勤・通学で流入する人口)や道路交通量にも強く影響されます。総務省「令和2年国勢調査」によると、東京都の昼夜間人口比率(夜間人口100人あたりの昼間人口)は119.2と全国トップで、昼間人口は常住人口より約270万人も多くなります。逆に最も低いのは埼玉県の87.6で、次いで千葉県(88.3)、神奈川県(89.9)と、東京都に通勤・通学する住民の多いベッドタウン県ほど低くなる傾向があります。東京都は夜間人口(住民登録ベースの人口)以上に昼間人口が膨らむ地域であり、オフィス街や駅前に高密度で出店できる土地の少なさをむしろ強みに変えている面があります。逆に鳥取県・高知県・島根県のような人口規模の小さい県では、店舗網を広げても採算が取りづらく、店舗数が伸びにくい構造があります。人口だけでは説明しきれない「都市の使われ方」の違いが、この28倍という差に表れています。
当サイトが独自に算出している都市度指数(所得・家賃・人口密度など20指標から合成した指数)で見ても、この上位・下位の顔ぶれはほぼそのまま重なります。東京都・大阪府・神奈川県はいずれも都市度指数の上位に入る一方、鳥取県・高知県・島根県は指数がマイナス側の下位に沈んでいます。ただし都市度指数はあくまで夜間人口ベースの統計から作った指数であり、昼間人口の流入という別の要因が強く効くコンビニ出店とは、完全には一致しません。両者を見比べることで、「所得・人口密度が高い県」と「昼間に人が集まる県」は近いようで同じではないことが分かります。
コンビニ各社の出店戦略という視点から見ても、この地域差は理にかなっています。コンビニ本部は一定エリアに集中して出店する「ドミナント戦略」を取ることが一般的で、店舗網の密度が高いほど物流コストの効率が上がり、認知度も高まります。人口規模が大きく、昼間人口の流入も見込める大都市圏ほどこの戦略が機能しやすく、逆に人口規模の小さい地方では、1店舗あたりの商圏人口を広く確保しないと採算が取りにくくなります。単純な人口比較だけでなく、こうした出店戦略上の合理性も、この28倍という格差の背景にあると考えられます。