以前の記事で、道の駅の数(面積との相関r=0.90)や温泉地の数(同r=0.71)が、県土の広さと強く連動していることを紹介しました。では、同じ「生活インフラ」でも、コンビニエンスストアの数はどうでしょうか。実際に計算してみると、まったく逆の結果が出ました。
コンビニの店舗数と面積の相関係数は、r=0.122とほぼ無相関です。面積で全国トップの北海道は、コンビニの店舗数では5位(3,007店)にとどまり、面積を1km²あたりに換算した密度で見ると、47都道府県中もっとも低い部類(0.036店/km²)に沈みます。道の駅や温泉地が「広い土地に点在する」施設であるのに対し、コンビニは土地の広さそのものにはほとんど左右されない施設だということです。
その代わり、コンビニの店舗数と1人あたり県民所得の相関係数はr=0.701と、当サイトの中でもかなり強い部類の正の相関を示しました。東京都・大阪府・神奈川県・愛知県といった、県民所得の上位県がそのままコンビニ店舗数の上位に並びます。コンビニは商業施設である以上、周辺の購買力や昼間人口の多さ、オフィス街・繁華街としての経済活動の密度に強く影響されます。道路や温泉のように「その土地に元々あるもの」を数える指標ではなく、「そこでどれだけ経済活動が行われているか」を映す鏡に近い指標だといえます。この顔ぶれは、当サイトが20指標から算出した都市度指数の上位(東京都・大阪府・神奈川県・愛知県・埼玉県・千葉県)ともほぼ重なっており、コンビニの店舗数は単独の指標でありながら、都市集積度そのものをよく反映しているとも言えそうです。
面積1km²あたりの店舗数で見ると、東京都が3.252店で圧倒的な1位、2位の大阪府(2.042店)を大きく引き離しています。最も少ないのは岩手県・北海道・秋田県で、いずれも0.04店/km²前後にとどまります。同じ「都道府県別データ」でも、道の駅・温泉地のように土地の広さに素直に連動する指標もあれば、コンビニのように経済活動の密度に連動する指標もある——2つの記事を見比べることで、指標ごとに「何に連動しているか」を意識する面白さが見えてきます。
この違いは、実際の使い道にも直結します。例えば「出店にあたって有望なエリアを探したい」という目的であれば、面積の広さよりも所得水準・人口密度といった経済指標を優先して見るべきですし、逆に「地域のインフラ整備の手厚さを知りたい」という目的であれば、道の駅や温泉地のような面積連動型の指標のほうが参考になります。同じランキングでも、何を目的に見るかによって、注目すべき指標は変わってくるということです。