「都道府県ごとの差が一番大きい統計はどれか」という問いに答えるのは、意外と簡単ではありません。人口密度は人/km²、県民所得は千円、犯罪発生件数は件/千人と、指標ごとに単位も桁数もまったく異なるため、単純に標準偏差(ばらつきの大きさ)の数値だけを比べても意味がありません。標準偏差が大きいのは、単にその指標の平均値が大きいからかもしれないからです。
こうした場合に使われるのが「変動係数(CV:Coefficient of Variation)」という指標です。変動係数は、標準偏差を平均値で割った値で、単位に依存しない「相対的なばらつきの大きさ」を表します。変動係数が大きいほど、平均に対して都道府県ごとのばらつきが大きい=地域差が大きい指標だということになります。当サイトが持つ複数の指標について、実際にこの変動係数を計算してみました。
結果は、人口密度が変動係数1.878で突出して大きく、続いて犯罪発生件数が約0.314、県民所得が約0.153、持ち家比率が約0.109という順になりました。つまり、都道府県によって最も「差が大きい」指標は人口密度であり、逆に持ち家比率は、都道府県が変わってもその割合は比較的均一だということが分かります。これは直感とも一致します。人口密度は東京都と北海道のように、都市と地方で桁が2つ近く違うこともある一方、持ち家比率はどの県も概ね5〜8割の範囲に収まっており、極端に低い県・高い県があっても、その差は人口密度ほど劇的ではありません。
この結果が示しているのは、「都道府県による違い」と一口に言っても、指標によってその性質はまったく異なるということです。人口密度のように地理的な条件(面積の大小)が直接反映される指標は、必然的に大きなばらつきを持ちます。一方、持ち家比率のように、住宅政策や暮らし方に関する指標は、日本全国である程度共通した傾向があるため、地域差は相対的に小さく収まります。犯罪発生件数はその中間で、都市化の度合いによってある程度差が出るものの、人口密度ほど極端ではありません。
変動係数によるこの並び替えは、単なる豆知識ではなく、「その指標で都道府県を比較することにどれだけ意味があるか」を考えるヒントにもなります。変動係数が小さい指標(差が小さい指標)でランキングを作ると、1位と47位の差がわずかで、誤差の範囲に近いことすらあります。逆に変動係数が大きい指標は、上位と下位の違いがくっきりと表れやすく、ランキングとして眺める面白さも大きくなります。当サイトの各ランキングを見るときは、その指標がそもそもどれくらいの地域差を持つ指標なのか、という視点を持って眺めてみると、数字の意味がより立体的に見えてきます。