東京に大学が集中しているのは、実は今に始まったことではありません。都道府県別の大学数を見ると、東京都が139校と、2位の大阪府(57校)を2倍以上引き離してトップに立っています。3位の愛知県(51校)、4位の兵庫県(39校)と続き、上位はいずれも大都市圏に集中しています。逆に、鳥取県・島根県・佐賀県はそれぞれ2校しかなく、東京都との差は実に約70倍にもなります。
この極端な集中は、自然発生的に生まれたものではありません。戦後、旧制の高等教育機関が新制大学へと再編される過程で、もともと帝国大学や高等師範学校、専門学校などの教育機関が集積していた東京に、多くの大学がそのまま設置されました。加えて、私立大学の多くが東京に本部を置いて創立された歴史的経緯があり、地方には国公立大学が1〜2校ずつ配置される一方、私立大学の新設は長らく東京圏に集中してきました。
実は、この一極集中を是正しようとする政策的な動きも過去にありました。1980年代以降、文部省(当時)は東京23区内での大学の新増設を抑制する方針を取った時期があり、2018年には「地方大学・地域産業創生法」によって、東京23区内の大学の定員増を原則10年間禁止する措置も取られています。それでも東京都の大学数がこれほど多いのは、既存の大学の蓄積がそれだけ大きく、新設を抑制しても総数の差はすぐには縮まらないためです。
大学数の多さは、その地域の教育機会の豊かさを示す一方で、地方から都市部への若者の流出とも表裏一体の関係にあります。地方の高校生が大学進学を機に上京し、そのまま地元に戻らず就職するという人口移動のパターンは、当サイトの高齢化率ダッシュボードで見た地方の高齢化とも密接に関連しています。大学数という教育インフラの偏りは、単なる教育政策の問題にとどまらず、日本全体の人口分布に長期的な影響を与え続けている構造的な要因の一つだといえます。
次の記事では、この大学数を人口で調整した「人口10万人あたり大学数」を見ることで、東京都に次ぐ「隠れた大学都市」がどこかを紹介します。総数では見えてこない、地域ごとの教育集積の濃さが浮かび上がってきます。