京都や奈良を旅行すると、街のあちこちに国宝級の寺社仏閣があることに驚かされます。この感覚は、実は数字にもそのまま表れています。都道府県別の国宝・重要文化財の総数を見ると、東京都・京都府・奈良県・滋賀県の上位4都府県だけで、全国の半数近くを占めているのです。特に東京都と京都府は2,000件を超え、3位の奈良県以下を大きく引き離しています。この極端な偏りには、日本の歴史そのものが関係しています。
京都府・奈良県・滋賀県が上位に来る理由は分かりやすく、長きにわたって都が置かれ、寺社仏閣や仏像・絵画などの文化財が長い年月をかけて蓄積されてきたためです。特に奈良県は、法隆寺や東大寺をはじめとする古代の建造物が数多く現存しており、建造物の指定件数では京都府と並ぶ上位常連です。
一方、東京都が総数でトップになっているのは、建造物よりも「美術工芸品」の指定件数が突出して多いためです。美術工芸品は絵画や書跡、刀剣といった移動可能な文化財を指し、明治以降の首都機能の集中にともなって、全国の博物館・美術館・皇室関連の収蔵品が東京に集められてきた経緯があります。つまり東京都の高さは、古くからその土地にあった文化財の蓄積ではなく、近代以降に「集められた」結果である点が、京都・奈良とは性質が異なります。
逆に、宮崎県・沖縄県・鹿児島県といった南九州・沖縄地域は、指定件数が全国で最も少ない部類に入ります。これは文化財が少ないというより、木造建築が主体で気候的に古い建造物が残りにくいことや、沖縄では先の大戦で多くの文化財が失われたことなど、地域ごとの歴史的事情が影響しています。
当サイトのこのランキングは総数を並べたものですが、次の記事では、これを人口で調整した「人口10万人あたり国宝・重要文化財数」を見ることで、単純な総数ランキングとは違う顔ぶれが浮かび上がることを紹介しています。