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道の駅・温泉地は「面積が大きいほど多い」。だが伝統的工芸品は面積とほぼ無関係だった

先日追加した3つの新しいデータセット――温泉地の数、道の駅の数、伝統的工芸品の指定数――を、当サイトの面積データと重ねて相関係数を計算してみました。すると、はっきりとした対比が見えてきました。

道の駅の数と面積の相関係数はr=0.902と、当サイトで扱ってきた指標の中でもかなり強い部類に入ります。温泉地の数も面積との相関がr=0.711と、こちらも強い相関です。道の駅・温泉地ともに、「県土が広ければ広いほど数が多くなる」という、直感に近い関係が数字の上でもはっきり裏付けられた形です。ちなみに道の駅と温泉地そのものの相関もr=0.776と強く、両者は「面積が広い県ほど数が多い、地方型のインフラ・観光施設」という共通の性質を持っていると言えそうです。

ところが、伝統的工芸品の指定数と面積の相関係数は、r=-0.126とほぼ無相関でした。面積で全国トップの北海道は、伝統的工芸品の指定数ではわずか2品目です。逆に、面積では全国最下位クラスの東京都京都府が、指定数では1位・2位タイに入っています。道の駅や温泉地が「その土地の広さ・地形」によって数が決まる自然発生的な施設であるのに対し、伝統的工芸品は「その土地に、どれだけの年月と職人の技が積み重ねられてきたか」という、面積とはまったく別の時間軸によって決まる指標だということです。

同じ「都道府県別データ」でも、土地の広さに素直に連動する指標と、まったく連動しない指標があります。何かのランキングを見たときに「これは面積が広いから多いだけなのか、それとも別の理由があるのか」と一度立ち止まって考えてみると、数字の見え方が変わってきます。

ここで一つ、慎重に確認しておきたい点があります。当サイトの別の記事(生乳生産量と面積の相関)で、r=0.96という強い相関係数が、実は北海道という1つの県の影響力(レバレッジ)によって作られていたことを紹介しました。同じことが道の駅・温泉地にも当てはまっていないか、北海道を除いて計算し直してみます。結果、道の駅は北海道を除いてもr=0.751、温泉地はr=0.781と、いずれも強い相関を保ちました。生乳生産量とは違い、道の駅・温泉地の面積との関係は、北海道1県に頼らない、47都道府県に広く当てはまる傾向だと確認できました。

では、面積と無関係だった伝統的工芸品は、何と連動しているのでしょうか。当サイトの文化財指定件数データと重ねて相関係数を計算すると、r=0.608という中程度から強めの正の相関が見つかりました。人口との相関もr=0.478とそれなりにあり、伝統的工芸品は「広い土地」ではなく、「人が古くから集まり、文化財が積み重ねられてきた土地」に多い傾向があるようです。実際、伝統的工芸品の指定数上位には、東京都(23品目)・京都府(17品目)・新潟県(17品目)・沖縄県(16品目)が並び、京都府沖縄県はいずれも文化財指定件数でも上位に入る県です。道の駅・温泉地が「自然発生的なインフラ」だとすれば、伝統的工芸品は「歴史の積み重ねが可視化された指標」だと言えそうです。

伝統的工芸品は、当サイトが47都道府県を5つのタイプに分類したPCA分析(都市度指数・ものづくり指数)でも、興味深い動きを見せていました。伝統的工芸品の密度は、製造品出荷額や貯蓄額が高い「ものづくり・堅実型」の県ではなく、医師数や大学数が多い「医療・教育資源が集中する側」の県で高くなる傾向があったのです。東京都京都府沖縄県のように、伝統的工芸品の指定数が多い県の多くが、実際にこちら側の性質を持つ県と重なります。単なる観光資源というだけでなく、「その土地に蓄積された文化・歴史資本」を映す指標として、当サイトの他の分析とも一貫した位置づけにあると言えそうです。

当サイトの面積・道の駅・温泉地・伝統的工芸品・文化財のダッシュボードを見比べながら、自分の県がどちらのタイプに近いか確認してみてください。

ここでもう一つ注意したいのは、「数の相関」と「密度の相関」は別物だという点です。道の駅・温泉地の数そのものは面積が広い県ほど多くなりますが、面積あたりの密度(1,000km²あたりの軒数)で見ると、上位には神奈川県千葉県富山県香川県和歌山県といった、むしろ面積が小さめの県が並びます。道の駅の面積あたり密度が最も高いのは香川県(1,000km²あたり9.6軒)で、面積そのものは全国で最も小さい県の1つです。「面積が広いから数が多い」という関係と、「単位面積あたりでどれだけ密に整備されているか」という関係は、まったく逆の顔ぶれを生み出す、別の物差しだということです。

道の駅の数 × 面積(都道府県別散布図)

相関係数 r = 0.902強い相関、n=47)。点1つが1つの都道府県を表しています。 北海道が右上に突出しつつも、それ以外の県も右肩上がりの傾向がはっきり見えます。面積が広い県ほど、道の駅の数も多い傾向にあります。