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森林率と犯罪発生率の相関係数はr=-0.55。森が多い県は犯罪が少ないのか

森林率(国土面積に占める森林面積の割合)と、人口千人あたりの犯罪発生件数(刑法犯認知件数)の相関係数を計算すると、r=-0.55という、当サイトの中でも比較的はっきりとした負の相関が出てきます。森林率が高い県ほど、犯罪発生率が低い傾向がある、ということです。犯罪発生率が最も低い秋田県(4.08件/千人)・岩手県(4.78件/千人)・山形県(5.51件/千人)は、いずれも森林率が70%を超える県です。逆に犯罪発生率が最も高い大阪府(17.51件/千人)・愛知県(16.05件/千人)は、当サイトの森林率ランキングで最下位クラスの県でもあります。

この相関は、東京都大阪府という突出した2都府県を除いて計算し直しても r=-0.45 と、大きくは弱まりません。つまり、1〜2件の極端な外れ値に引っ張られて生まれた見せかけの数字ではなく、47都道府県全体にある程度広く成り立っている傾向だと言えそうです。

とはいえ、この関係は完璧なものではありません。森林率が全国トップの高知県(83.8%)の犯罪発生率は10.47件/千人で、全国平均をやや上回る水準にあります。森林率2位の岐阜県(81.2%)も12.13件/千人と、下位の県と比べて必ずしも低くありません。「森林率が高ければ高いほど犯罪が少ない」という単純な右肩下がりの関係ではなく、あくまで全体としての緩やかな傾向にとどまる点には注意が必要です。

では、なぜこの相関が生まれるのでしょうか。当サイトの別記事「人口密度は、所得とも、犯罪率とも、持ち家比率とも相関する『万能変数』だった」では、人口密度と犯罪発生率の相関係数がr=0.528であることを紹介しました。森林率が低い県は、可住地面積に対して都市部が広がっている県、つまり人口密度が高い県と重なりやすい傾向があります。森林そのものに犯罪を抑止する力があるというより、森林率は「その県がどれだけ都市化しているか」を裏返しに示す代理変数であり、都市化に伴う人口密度の高さ・匿名性の高さ・昼間人口の流入といった要因が、犯罪発生率を押し上げている可能性のほうが高いと考えられます。森林率と犯罪率という一見無関係な2つの指標が連動して見えるのは、その裏に「都市化」という共通の要因が隠れているからだ、というのが自然な解釈です。

n=47という都道府県単位のサンプルサイズでは、こうした相関から個々の要因を厳密に切り分けることはできません。それでも、単純な2変数の相関係数を計算するだけで、一見無関係に思える指標同士のつながりや、その裏にある共通の構造が見えてくるのは、都道府県データを読み解く面白さの一つです。

森林率 × 犯罪発生件数(人口千人あたり)(都道府県別散布図)

相関係数 r = -0.550中程度の相関、n=47)。点1つが1つの都道府県を表しています。 左下に大阪府・愛知県・京都府など森林率が低く犯罪発生率が高い都府県が集まり、右側には森林率の高い東北・中部の県が並びます。