看護師の数は、高知県と埼玉県とで2倍以上の開きがあります。人口10万人あたりの看護師数を都道府県別に見ると、高知県が1,114.78人で全国トップ、次いで鹿児島県・長崎県・熊本県・佐賀県と、九州・四国の県が上位に集中しています。最下位は埼玉県で486.91人、高知県の半分以下という大きな開きがあります。
この分布を当サイトの医師数データと比較すると、相関係数は r = 0.684 と、中程度から強めの正の相関が確認できます。医師が多い地域は看護師も多い、という関係は直感的にも理解しやすいものです。医療機関が集積している地域では、医師・看護師ともに雇用の受け皿が大きくなるため、両者が同じ方向に動くのは自然な結果だといえます。
一方で興味深いのは、看護師数と県民所得の相関係数が r = -0.461 と、中程度の負の相関になっている点です。所得が高い都市部の県ほど、人口あたりの看護師数はむしろ少ない傾向があります。この背景には、都市部は病床数あたりの人口が多く、医療機関の絶対数に対して人口の伸びが上回っていること、また、看護師は地方の医療機関でも一定数が必要とされる一方、都市部では民間の医療以外の職種(企業の産業保健職など)に流れる看護師資格保有者もいることなどが考えられます。
同様の「西高東低」に近いパターンは、当サイトの医師数の記事でも見た構造です。ただし医師数が医学部の立地に強く規定されるのに対し、看護師は看護学校・看護専門学校がより広く分散して設置されているため、医師ほど極端な地域偏在にはなっていません。それでも、埼玉県・千葉県・神奈川県といった東京近郊のベッドタウン県が軒並み下位に沈んでいる点は、医師数のランキングとも共通しています。
実際、看護師数と人口10万人あたり病院数の相関係数を計算すると、r=0.825と、医師数との相関(r=0.684)よりもさらに強い正の相関が見つかりました。病院そのものが多い地域ほど看護師の雇用先も多く、両者が強く連動するのは自然なことですが、医師数以上に病院数との結びつきが強いという結果は、看護師という職種が「病院という施設の存在」に、医師以上に規定される働き方であることを示唆しています。埼玉県・千葉県・神奈川県のような東京近郊県は、人口あたりの病院数そのものが少なく、これが看護師数の少なさに直結していると考えられます。
医療従事者の地域偏在は、単純な「豊かさ」の問題ではなく、医療機関・教育機関の立地という構造的な要因が強く影響しています。当サイトの医師数・人口10万人あたり病院数のダッシュボードとあわせて見ることで、その地域の医療提供体制がどんな構造になっているのか、より立体的に理解できます。