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漁獲量と米収穫量には、実はゆるやかな関係がある

日本の海面漁獲量の3割近くを、たった1つの道が占めています。都道府県別に見ると、北海道が114万1千トンで全国の漁獲量の3割近くを占め、2位の長崎県(24万4千トン)に3倍以上の差をつけて圧倒的な1位に立っています。3位は静岡県、4位は宮城県、5位は三重県と、太平洋側・日本海側を問わず、沿岸部の県が上位に並びます。なお、埼玉県群馬県栃木県山梨県長野県岐阜県滋賀県奈良県の8つの内陸県は海に面していないため、漁獲量は0です。

この漁獲量データと、当サイトの米収穫量データとの相関係数を計算すると、r = 0.413 という、無視できない中程度の正の相関が見つかります。一見すると海と田んぼは無関係に思えますが、この相関にはいくつかの理由が考えられます。1つは、北海道新潟県・東北各県のように、広い平野部と長い海岸線を併せ持つ地域が多いことです。稲作に適した平野は、多くの場合、河川が海に注ぐ沖積平野として形成されており、同じ地形的条件が稲作と沿岸漁業の両方を支えていると考えられます。

もう1つの理由は、単純に県土面積や人口規模の効果です。北海道のように面積が広い道県は、農地面積も海岸線の長さも、他の都府県より大きくなりやすい傾向があります。当サイトの記事で繰り返し確認してきたとおり、こうした「規模の大きさ」は、性質の異なる複数の指標を同時に押し上げる交絡変数になりやすい点には注意が必要です。

実際、上位の顔ぶれを見ると、北海道宮城県新潟県のように、米も魚も両方とも上位に来る「一次産業の複合型」の地域がある一方、長崎県静岡県三重県のように、漁獲量は上位でも米収穫量ではそれほど目立たない「漁業特化型」の地域も存在します。この相関係数0.413という数字は、両者が完全に連動しているわけではなく、ゆるやかな重なりがある程度だということを示しています。

当サイトの生乳生産量・米収穫量・海面漁獲量という3つの一次産業データをあわせて見ると、それぞれの都道府県がどんな一次産業の組み合わせを持っているのか、地域ごとの産業構造の個性が浮かび上がってきます。

海面漁業漁獲量 × 米(水稲)の収穫量(都道府県別散布図)

相関係数 r = 0.413中程度の相関、n=47)。点1つが1つの都道府県を表しています。 沿岸県は右上、内陸県は左下に集まる傾向はあるものの、全体としてはばらつきが大きく、強い相関ではありません。