当サイトの比較ページでは、2つの都道府県を選んで複数の指標を並べて見ることができます。便利な機能ですが、公的統計を比較するときには、数字をそのまま鵜呑みにすると誤った印象を持ってしまうことがあります。ここでは比較の際に意識しておきたい4つのポイントを紹介します。
1つ目は「絶対数」と「割合・比率」を混同しないことです。例えば病院数を都道府県間で比較する場合、人口が多い都道府県ほど病院数も多くなるのは自然なことです。地域の医療体制の手厚さを比べたいのであれば、人口10万人あたりの病院数のような、人口規模を調整した指標で見る必要があります。当サイトでは指標ごとに単位を明記しているので、比較する前に「これは絶対数なのか、それとも比率なのか」を確認する習慣をつけると誤読を避けられます。
2つ目は「調査年のズレ」です。統計は調査主体や集計方法によって公表のタイミングが異なり、指標Aは2025年のデータ、指標Bは2023年のデータ、ということが珍しくありません。当サイトの各ページには参照年を必ず表示していますが、複数の指標を組み合わせて分析する際は、年がずれている可能性を踏まえたうえで結論を出すことが重要です。特に短期間で大きく変動する指標(景気関連や雇用関連など)は、年のズレが結論に与える影響が大きくなります。
3つ目は「出典によって定義が異なる場合がある」ことです。同じ「医師数」という言葉でも、調査によって「病院に勤務する医師」のみを数えているのか、「診療所を含む医療施設全体」を数えているのかで数値は変わります。当サイトでは各指標のダッシュボードに出典元を明記していますので、詳細な定義を確認したい場合は出典元の一次資料にあたることをおすすめします。
4つ目は「2つの指標が連動しているように見えても、実は共通の第三の要因のせいかもしれない」という点です。当サイトで実際に図書館数と大学数の相関係数を計算すると r=0.925 という強い値になりますが、これは人口が多い県ほど図書館も大学も多いという、両方に共通する「人口規模」という要因のせいでした。人口10万人あたりに調整し直すと相関係数はr=-0.009までほぼ消えてしまいます。2つの指標を比較して「連動している」と感じたときほど、それぞれが人口や面積といった同じ変数に影響されていないか、当サイトの人口10万人あたり・面積あたりの指標もあわせて確認する習慣をつけると安心です。
統計は便利な道具ですが、道具である以上、使い方を誤れば誤った結論を導いてしまいます。ランキングや比較の結果を「事実」として受け取るのではなく、「なぜこの数字になっているのか」を考えるきっかけとして活用していただければと思います。