データみっけ

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数字を見せただけでは伝わらない。住民の声から学んだ「見せ方」へのこだわり

行政の現場でデータ公開に携わっていたとき、「行政としては当然分かるだろう」と思っていた情報ほど、住民の方にはうまく伝わらない、という経験を何度もしました。公開したデータについて、「この数字は何を表しているのか」「前年と比べて増えたのか減ったのか」という問い合わせを受けることが少なくなく、数字そのものは正確でも、それだけでは十分に伝わらないのだと痛感しました。

特に印象に残っているのが、「公開すること」自体が目的になってしまっているケースが少なくなかったことです。CSVファイルを公開しただけでは、ほとんどの人はそのデータを活用できません。実際には、探しやすく整理したり、グラフ化したり、背景を説明したりして初めて、データは価値を持つのだと感じました。

一方で、同じデータでもグラフや地図を使って可視化すると、格段に理解してもらいやすくなりました。「こういう見せ方なら分かりやすい」という声を実際にいただいたこともあり、「数字を見せる」のではなく「意味を伝える」ことこそが重要なのだと考えるようになったのは、この頃です。

その後、データサイエンティストとして民間企業のコンサルティング業務に移ったとき、行政と民間とではデータに対する重心の置き方がまったく違うことに驚きました。行政では、公平性・説明責任・制度運用を重視するため、正確さや根拠が何よりも優先されます。一方、民間では「まず仮説を立てて、データで検証する」という進め方が非常に多いことに驚きました。「このデータを使ってどう意思決定するか」「事業をどう改善するか」という視点が強く、スピードと実用性が重視される場面が多かったのです。どちらもデータを大切にしている点では同じですが、行政は「正しく公開すること」に、民間は「価値を生み出すこと」に重心があるという違いを感じました。

オープンデータの整備を進める過程では、部署によって温度差があったことも印象に残っています。統計・企画・DXを担当する部署は「積極的に公開して活用してもらいたい」という姿勢が強い一方、個人情報や制度運用を担当する部署は「誤解されないか」「問い合わせが増えないか」という懸念を持つことがありました。どちらが正しいという話ではなく、それぞれの部署が守るべきものが異なるためで、公開範囲やデータ形式、説明文を何度も調整しながら進めることが多く、データを公開すること以上に、関係者の認識を合わせることの難しさを感じたのを覚えています。

実際、サイトの中で一番作るのに時間がかかったのは、都道府県ごとの違いを地図上で直感的に見せるダッシュボードでした。数値を色分けして地図に落とし込むだけなら簡単ですが、見やすさと操作性を両立させるまでには、配色や凡例の見せ方、細かい調整に何度も試行錯誤しました。それだけ手間をかけた分、地域ごとの違いが感覚的に伝わるようになったときは、苦労した以上の手応えを感じたのを覚えています。

データみっけで、単なる数値の一覧ではなく、棒グラフや散布図、地図を積極的に使っているのは、この2つの経験の掛け合わせです。行政で培った「正確さを崩さない」という姿勢と、民間で学んだ「伝わらなければ価値がない」という視点、その両方を、このサイトのグラフや解説記事に込めているつもりです。数字を並べるだけでなく、その数字が持つ意味まで届けること——それが、これからもこのサイトで大切にしていきたいことです。